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韓国の知財統計(2020年)

  • March 31, 2021
  • 崔光勳弁理士 / 金旻志弁護士

韓国特許庁は、2020年に出願または審査が行われた知的財産権(特許、実用新案、デザイン及び商標)に係る統計を発表した。それをまとめると次の通りである。



出願統計

 

韓国特許庁に2020年出願された知的財産権に係る出願件数は総557,256件であり、2019年に比べて9.1%増加した。実用新案出願だけがやや減少したことを除いては、それ以外の全ての知的財産権に係る出願件数が増加したことが分かる。

 

 

<2020年出願された知財権出願件数>

  特許 実用新案 デザイン 商標 合計
出願件数 226,759 4,981 67,583 257,933 557,256
(2019年比増減率) (+3.6%) (- 8.6%) (+3.9%) (+16.4%) (+9.1%)

 

 

 

2020年出願の中で、約85.8%は韓国法人/個人により出願された件であり、約14.2%は外国法人/個人により出願された件であった。韓国において知的財産権出願の多い外国出願人の国籍順位は次の通りである︓米国(21,303件)、日本(17,906件)、中国(12,549件)、ドイツ(5,577件)、フランス(2,753件)。

 

2020年における出願件数が最も多かった企業はやはりサムスン電子であった(7,446件)。外国企業のうち上位5社は次の通りである︓東京エレクトロン株式会社(TEL)(623件)、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(TSMC)(603件)、株式会社半導体エネルギー研究所(SEL)(527件)、オッポ(Oppo)(509件)、ファーウェイ(Huawei)(505件)。



 審査統計

 

2020年には、総223,842件の特許出願に対して実体審査が請求された。また、170,299件に対して拒絶理由通知が発せられ、47,331件に対して拒絶査定がなされた。特許査定になった件は137,711件であり、特許査定率(登録率)は72.2%であった。

 

2019年(183,816件)に比べて審査請求された件が大幅に増加したが、このような現状は2017年特許法の改正によって審査請求の期間が出願日より5年から3年に短縮されたことに起因すると考えられる。ちなみに、かかる改正法は2017年2月28日後に出願された件から適用されるものであり、その前に出願された件の審査請求に対しては、従前通り5年の期間が適用される。一方、過去5年間の特許査定率をみると、2016年には60.0%であったが、毎年増加して2020年には72%を上回った。

 

 

<過去5年間の特許査定率>

年度 2016 2017 2018 2019 2020
特許査定率 60.00% 63.10% 65.00% 68.80% 72.20%



 審判統計

 

2020年の特許審判事件は総3,132件であり、これを審判請求人別に分けてみると、韓国法人/個人により請求された件が2,064件で、外国法人/個人により請求された件が1,068件であった。また、審判の性格別に分けてみると、当事者系の事件が757件で、査定系の事件が2,375件であった。

 

2020年、特許に係る拒絶査定不服審判は2,110件が請求された。なお、特許審判院で審理が行われた3,140件の拒絶査定不服審判事件の中、23件は審査前置手続を経て特許査定になり、1,221件は特許審判院により直ちに特許査定されるか、若しくは審査局に差し戻され再び審査を受けることになった。

 

特許無効審判事件において、請求認容審決は185件、棄却または却下審決は209件であった。



 特許法院による査定系訴訟事件の統計

 

2,039件の査定系特許事件の審決の中、わずか115件(約5.6%)に対してのみ特許法院に審決取消訴訟が提起された。 

 

2020年特許法院で審理が行われた査定系の特許事件は140件で、その中、24件に対しては認容判決(つまり、審決を取消す旨の判決)、96件に対しては棄却または却下判決(つまり、審決を維持する旨の判決)が下された。訴提起から特許法院の判決までは平均8ヵ月が所要された。