INSIGHTS

第一特許法人は、IP最新動向及び法律情報を定期的に提供します。

ニュースレター

知識財産権審判に関する特許法等の改正

  • September 30, 2021
  • 李和均弁理士

特許審判段階にて紛争をより迅速に解決するために、審判・調停連携制度及び証拠/攻撃防御方法の適時提出主義を導入することを骨子とする特許法、商標法、デザイン保護法、発明振興法(以下、「特許法等」という)の改正案が最近国会を通過し、2021年11月18日から施行される予定である。



▶ 審判・調停連携制度の導入

 

多くの時間と費用を要する特許審判や訴訟の代案として、調停を通じて紛争を解決できるよう、発明振興法に基づいて産業財産権紛争調停委員会が設立されている。しかし、調停制度と審判及び訴訟との連携に不備があったため、調停を申請しても当事者は審判手続と調停手続を同時に行うしかなく、実際に調停は特許審判の適切な対案として考慮されていなかった。

かかる問題を解決するために、改正法には、i)特許審判の審判長は、両当事者の同意を得て審判手続を中止し、当該審判事件を産業財産権紛争調停委員会に回付することができ、ii)審判事件が調停委員会に回付されるとき、審判記録も調停委員会に送付され、iii)調停手続を通じて調停が成立すると審判請求は取り下げとみなされ、逆に調停が不成立すると審判手続が再開されるようにする一連の連携手続きが設けられた(特許法第164条の2)。改正法の後続措置として発表された審判調停連携制度の運営案によると、審判事件の中で審判合議体の判断が二分され、当事者間の紛争が特許法院と大法院の段階まで長期間にわたって行われることが合理的に予想される事件に限って選別的に調停回付の対象となるそうだ。言い換えれば、仮に審判長から当事者に調停委員会への回付に関する提案があった場合、当該事件に対しては審判官合議体の意見が二分されていることが推察されるので、当事者はそのような情況を十分考慮したうえで同意如何を決めるのが望ましいであろう。



 証拠/攻撃防御方法の適時提出主義

 

民事訴訟法には、攻撃又は防御の方法は、訴訟の程度に応じて適切な時期に提出しなければならないという適時提出主義が明文化されているが、特許法には、特許審判手続きにおける証拠や攻撃防御方法の提出時期を制限する規定がなく、時機に後れた証拠や攻撃防御方法の提出により審判手続が遅延するという問題がしばしば発生した。改正法では、審判手続の規定が民事訴訟法の適時提出注意規定(第146条、第147条及び第149条)を準用することにより、審判長が新たな主張/証拠の提出時期を定め、時機に後れて提出された証拠、主張等は却下することができる法的根拠が設けられた。



 特許審判院内の審判支援人員

 

韓国の審判官1人当たりの処理審判件数は他の主要国に比べて過多である。さらに、技術の高度化により、特許技術を理解するために一層の努力と時間が要求されている。そこで、かかる負担を軽減するために、今回の改正法には、審判事件の調査及び研究業務を行う支援人材を審判院内に配置することを可能にする根拠規定が設けられた。