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商標法及びデザイン保護法の改正

  • March 31, 2022
  • 李智瑛弁理士 / 金旻志弁護士

改正された韓国商標法と韓国デザイン保護法が2022年4月20日に施行される。改正法は、特に瑕疵のある権利の発生を最小化するために再審査制度を導入し、手続の無効及び商標権/デザイン権の回復要件を緩和することで商標及びデザインの審査と獲得を容易にするものである。


改正法の主な内容は次の通りである。



 

商標及びデザインの職権再審査

 

改正された韓国商標法と韓国デザイン保護法では、職権再審査制度が導入された。商標出願又はデザイン出願が登録決定となった後も、審査官が新たな拒絶理由を見つけたときは、それに基づいて拒絶通知を発することができる。この際、審査官は従前の登録決定を取り消し、出願人に新たな拒絶理由に対する意見を提出する機会を付さなければならない。この再審査制度は2017年3月1日より施行された特許法上の制度と同一のものである。本手続は瑕疵のある権利の発生を防ぎ、権利登録の無効の可能性を事前に断ち切ろうとする目的で導入されたものである。

 

ただし、登録料の納付後は審査官による職権再審査をすることができない。

 

 

 

 

 手続の無効及び商標権/デザイン権の回復要件の緩和

 

現行の韓国商標法及びデザイン保護法によれば、出願人又は登録権者が商標法及びデザイン保護法に規定された書類の提出、登録料の納付などの期間を守れなかった場合、当該出願及び商標権/デザイン権は取下げと見なされるか、消滅する。ただし、期間の徒過が地震や自然災害といった出願人又は登録権者の「責めに帰することができない事由」によるものであるときは、その事由が消滅した日から2月以内に回復申請をすることができる。

 

ところが、このような「責めに帰することができない事由」が認められる基準が厳しいため、実際には回復規定の利用がほとんどなかった。よって、改正法では回復規定がもう少し利用されるように、この「責めに帰することができない事由」を「正当な事由」へと基準を緩和した。改正法によれば、出願人の入院や銀行などによる登録料納付の手違いといった場合も「正当な事由」として認められるものと予想される。

 

 

 

 分割出願における優先権主張の自動認定

 

原出願時には優先権主張があったが分割出願時に優先権主張をしなかった場合、改正法ではかかる分割出願の拒絶を防ぐために分割出願も優先権を主張したものと見なす。このように優先権主張をしたと見なす分割出願については、分割出願を行った日から30日以内にその優先権主張の全部又は一部を取り下げることができる。

 

 

 

  拒絶決定不服審判の請求期間を30日から3月に延長

 

現行の韓国商標法及びデザイン保護法によれば、出願人は拒絶決定が送達された日から30日以内に特許審判院に拒絶決定不服審判を請求することができる。ところが、この30日という期間が他国に比べて非常に短いという批判を受け、改正法では不服審判の請求期間を3月とした。