デザイン保護法に関する一部改正事項が盛り込まれた改正法が2023年6月20日に公布されて、2023年12月21日から施行される予定である。以下、主な改正内容について検討する。
▶ 関連意匠の出願期間を3年に拡大
出願人が自身の先行登録意匠又は出願意匠と類似している意匠の登録を受けるためには、新規性又は先願規定違反の例外が認められる関連意匠として出願しなければならない。
通常、企業は製品の発売後に、市場の反応が良ければ意匠の一部を変えた後続製品を持続的に開発し販売する。しかし、現行のデザイン保護法によれば、後続製品の意匠を関連意匠として出願できる期間が基本意匠の出願日から1年以内に制限されているため、企業が意匠の権利範囲を拡大し、持続的に模倣や侵害を防ぐのに限界があるという恐れが提起されてきた。
改正されたデザイン保護法では、関連意匠の出願期間が1年から3年に延長され、企業のブランド及びイメージの構築に寄与し、競争力のある意匠の保護を強化した。
▶ 新規性喪失の例外の適用の拡大
デザイン保護法では、意匠登録出願が出願人自身の公知意匠との関係において、新規性又は創作性規定の違反の問題があれば、その最初の公知日から12ヵ月以内に出願される場合に限って、新規性喪失の例外を認めている。
現行のデザイン保護法によると、新規性喪失の例外を主張できる時期が1)出願時、2)意匠登録可否決定の通知書の発送前、3)第三者が提起した異議申請に対する答弁書の提出時、4)第三者が提起した無効審判に対する答弁書の提出時に限定されている。かかる時期の制限によって、特に第三者が提起した意匠の侵害訴訟又は意匠の権利範囲確認審判において、意匠権者が新規性喪失の例外を主張できないという批判が提起されており、実務的に意匠権者は第三者を通じ、自身の登録意匠に対して意図的に無効審判を請求する企画審判で新規性喪失の例外を主張してきた。
改正されたデザイン保護法では、新規性喪失の例外を主張できる時期に関する規定が完全に削除されて、意匠権者がいつでも新規性喪失の例外を主張できる。
▶ 条約に基づく優先権主張の要件の緩和
現行のデザイン保護法によれば、パリ条約に基づく優先権を主張しようとする者は、優先権主張の基礎とされる最初の外国出願日から6ヵ月以内に意匠登録出願をしなければならず、出願の際に願書に優先権主張の旨を記載しなければならず、意匠登録出願日から3ヵ月以内に外国政府が認める外国優先権出願書の写しを証明書類として提出する必要がある。
改正されたデザイン保護法では、実務上許容されてきた優先権主張の補正を明文化し、入院、システムエラー等、期間の経過に正当な事由がある場合には2ヵ月の期間延長ができるよう、次のように優先権主張の要件を緩和した。
(1) 優先権主張の補正及び追加:優先権主張の意匠登録出願日から3ヵ月以内に優先権主張を補正・追加することができる。
(2) 優先権主張の期間:6ヵ月の優先権主張の期間は、正当な事由でその期間を守れなかった場合にさらに2ヵ月延長することができる。
(3) 優先権主張の証明書類の提出期間:3ヵ月の優先権主張の証明書類の提出期間は、正当な事由でその期間を守れなかった場合にさらに2ヵ月延長することができる。
今回のデザイン保護法の改正により、出願人の権利保護と手続きの緩和がより一層強化されると見込まれる。