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2024年、歴代最多の特許出願件数と上昇する特許登録率

  • March 31, 2025
  • 崔世煥弁理士

韓国特許庁は、2024年知的財産権の出願・審査・審判・訴訟に係る統計資料を発表した。そのうち主な内容を要約すると次の通りである。



 知的財産権出願

 

<2024年知的財産権の出願件数>      

 

特許

実用新案

デザイン

商標

合計

出願件数

246,245

2,442

55,897

255,045

560,629

(前年比増減率)

(1.2%)

(11.1%)

(1.0%)

(0.3%)

(0.7%)

 

 

2024年韓国特許庁に出願された知的財産権の出願総数は560,629件であり、2023年に比べて0.7%増加した。 

 

特許出願のうち、79.5%は韓国法人/個人により出願され、20.5%は外国法人/個人により出願された。韓国に最も多い特許出願をした外国出願人の国籍をみると次の通りである:米国(15,576)、日本(13,861)、中国(5,652)、ドイツ(3,650)、スイス(1,639)、ランス(1,475)、イギリス(1,318)。

 

2024年には、総199,407件の特許出願に対して実体審査が請求された。また、審査結果として、韓国特許庁は、186,382件の意見提出通知書、39,761件の拒絶査定書、122,382件の特許査定書を発行した。特許事件の特許査定率は、74.6%であった。 

 

2016年から2022年まで7年連続で特許の特許査定率は増加の一途をたどり、2016年の60.0%から2022年には74.3%の水準にまで至ったが、2023年は72.9%と小幅に減少した。2024年には74.6に更に上昇して、去る9年間の漸進的な増加傾向を回復した。  

 

 

▶ 特許出願審査 

 

<2016年~2024年特許査定率の推移>   

2016

2017

2018

2019

2020

2021

2022

2023

2024

特許査定率()

60

63.1

65

68.8

72.2

74

74.3

72.9

74.6

 

審査請求日から最初の審査結果(意見提出通知書又 は 特 許 査 定 書 ) が 通 知 さ れ る ま で の 所 要 期 間 は 、2024 年に平均16.1 ヶ 月で あ った 。 COVID19 直 前の2019年に10.8ヶ月であった審査処理期間は、その後、増加し続けてきた。 

  

 

▶ 特許審判 

 

2024年特許審判院に提起された特許関連の審判件数 は 、 計 2,291 件 で あ り 、 こ れ は 2023 年 に 比 べ て27.5%減少している。これを審判請求人によって分類すると、1,499件(65.4%)は韓国法人/個人により、792件(35.6%)は外国法人/個人により提起されている。一方 、 審 判 の 性 格 に よ っ て 区 分 し て み る と 、 626 件(27.3%)は当事者系事件であり、1,665件(72.7%)は査定系事件である。 

 

審査官の拒絶査定に対して特許審判院に不服審判が提起された件数は、1,380件であった。審判院が審理した特許拒絶査定不服審判事件は、1,558件であったが、このうち、438件に対しては審査局に差し戻して再度審査されるか、特許審判院により特許査定となっている。2024 年 の 審 判 成 功 率 (28.1%) は 、 2023 年(27.1%)よりもやや上昇した。 

 

(査定系) 特許取消手続の場合、161件の取消申請が特許審判院に提出された。審理を行った163件のうち、38件(23.3%)に対して取消決定が下され、125件の特許は維持された。 

 

(当事者系) 特許無効審判は、365件が請求され、327件の審理が行われた。このうち、請求を認容した審決は、173件(52.9%)、棄却又は却下した審決は、127件(38.8%)であった。残りの27件は取下げられた。 

 

 

▶ 特許法院及び大法院判決 

 

2024年特許審判院が下した6,551件の知的財産権の審決のうち、620件(9.5%)に対して特許法院に審決取 消 の 訴 が 提 起 さ れ た 。 こ の う ち 、 特 許 に 関 し て は 、2,939件の審決のうち385件(13.1%)に対して、不服の訴が提起された。 

 

 特許法院が2024年に審理した審決取消訴訟は、525件であったが、このうち、134件(25.5%)に対しては原告の請求を認容(すなわち、特許審判院の審決を取消)し、296件(56.4%)に対しては、棄却又は却下判決(すなわち、審判院の審決を維持)を下した。95件の訟は取下げられた。訴提起から特許法院の判決までは、平均で8.6ヶ月がかかっていることと現れた。 

  

大法院は、特許法院の判決に不服した137件の審決取消訴訟事件を審理したが、このうち、8件(5.8%)に対しては、上告を認容(すなわち、特許法院の判決を破棄)し、118件(86.1%)に対しては、上告を棄却又は却下(すなわち、特許法院の判決を維持)した。  

 

 

▶ 検討 

 

韓国において、特許出願の件数と特許登録率は、持続的に増加している。このような肯定的な傾向は、韓国での技術革新と知的財産権に有利な環境を見せている。 

 

拒絶査定に対する不服審判の成功率が28.1%であることに鑑みると、特許出願人は審査局で特許審査中に困難がある場合、特許審判院に不服審判を請求することを積極的に考慮することができる。 

 

審査速度に関連して、最近、韓国特許庁は、現在遅延している審査手続を迅速に行う計画を発表した。その一環として、最初の審査結果が出るまでかかる平均の審査処理期間が、2024年16.1ヶ月から2025年15.1ヶ月に、1ヶ月短縮されることと見込まれる。