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特許審査手続きの改善事項

  • March 31, 2025
  • 千鎭源弁理士

最近、韓国特許庁は、分割出願の審査着手順位を変更し、特許審査ハイウェイ(PPH)出願の審査処理期間を短縮するように特許審査事務取扱規定を改正した。  

 


▶ 分割出願の審査着手順位の変更  

 

従来の韓国特許庁の審査事務取扱規定によれば、分割出願の審査着手は原出願の審査請求順に従って処理されてきた。しかしながら、分割出願の数が増加した結果、一般出願の審査滞積を引き起こし、更に、原出願の審査結果が出る前に(例えば、原出願の拒絶決定不服審判と共に分割出願を行う場合等)分割出願の審査結果が出てしまい、出願人が数回の期間延長を申請しなければならない場合も生じた。 

ところが、2025年1月1日からは米国、日本等の主要国と同様に、分割出願自体の審査請求順に基づいて審査に着手することに変更された。韓国特許庁は、この変更により一般特許出願の審査がより早く進められるようになったと述べた。 

 また、変更された審査規定により、出願人は原出願の登録後に分割出願を活用して、より戦略的に権利範囲を確保(例えば、技術動向に沿った特許請求の範囲の作成、標準特許の獲得等)することができると見込まれる。分割出願を迅速に権利化したい出願人は、PPH等の優先審査制度を活用することが推薦される。 

 


▶ PPH審査処理期間の短縮 
 


PPHに基づく優先審査の処理期間が従来の4ヶ月から3ヶ月に短縮された。これは、米国や日本が現在施行しているPPH改善政策と連携したものであり、2025年1月1日以降に優先審査が申請された出願から適用されている。これにより、韓国における特許権の確保が一層早まると予想される。 
 

 


▶ 特許審判院で審決として直接登録決定  

 

また、2025年1月1日より、特許審判院は特許出願及びデザイン出願に対する拒絶決定不服審判で登録決定が妥当であり、その他の争点がないと判断された場合、審判官が審決として登録決定を行うことを明らかにした。従来は、審判請求が認容された場合、拒絶決定を取り消し、審査局に差し戻し、審査官が再び審査を進行した。特許審判院は、登録遅延を防ぎ、手続きが繰り返される不便さを解消するため、審査段階で検討されなかった争点が残っているか、新たな拒絶理由が発見される等追加の審査が必要な場合のみ審査官に事件を差し戻すように審判手続きを改善した。これにより、拒絶決定不服審判が認容された場合、出願人はより早く特許権等の権利を獲得することができ、審査官の審査負担も軽減されると見込まれる。