真の発明者の記載を含む発明者の訂正手続に関する特許法・実用新案法施行規則の一部改正令が2024年11月1日をもって施行された。改正施行規則によると、特許出願人は、特許決定時から設定登録前までの期間には発明者を追加することができず、訂正申請時に訂正の理由を記載した証明書類を必ず提出しなければならない。
▶ 改正の理由
改正前の特許法施行規則では、発明者を訂正できる時期に制限がなく、設定登録前に発明者訂正を申請する場合には、別途の証明書類なしに補正書の提出のみで発明者を訂正することが可能であった。
そのため、特許庁の審査手続が終わった後(特許決定後)に、真の発明者ではない者を発明者として追加して手数料の減免を受けたり、真の発明者を故意に漏らすなど悪用する事例が発生した。
本改正は、法的安定性を損なう無分別な発明者訂正を防止し、真の発明者のみが記載されるように発明者訂正制度を改善することを目的とする。
▶ 発明者の訂正時期の制限及び証明の強化
改正施行規則によると、(i)いつでも可能であった発明者の訂正時期が一部制限され、(ii)設定登録後のみ提出が求められた証明書類を審査官の審査手続き段階においても提出するように義務化された。
まず、特許出願人は、特許決定以後から設定登録前までの期間には発明者を追加することができず、発明者の改名、単純な誤記、住所変更など発明者の同一性が維持される範囲内でのみ発明者情報を訂正することができる。すなわち、審査手続が終了して発明者訂正の適法性に関する審査が不可能となる特許決定後から設定登録前までの期間を訂正可能な期間から除外した。
さらに、審査手続き段階で発明者を訂正する場合には、①訂正理由を記載した説明書、及び②特許出願人と、追加又は訂正される発明者全員が署名または捺印した確認書類を必ず提出しなければならない。
また、設定登録後に発明者を訂正する場合にも、出願人及び発明者全員の署名・捺印を含む確認書類とともに訂正の理由を記載した説明書を提出するようにして、証明要件を強化した。ただし、一部発明者において署名が不可能な特別な理由がある場合(例えば、発明者の死亡または所在不明など)には、その理由を記載し、署名・捺印を省略することができる。