韓国特許庁は、2023年に出願・審査・審判又は訴訟が行われた知的財産権に係る統計を発表した。そのうち主な内容を要約すると次の通りである。
▶ 2023年の出願統計
2023年に韓国特許庁に出願された知的財産権の出願総数は556,600件であり、2022年に比べて0.03%増加した。
| 特許 | 実用新案 | デザイン | 商標 | 合計 |
出願件数 (対前年の増減率) | 243,310 (▲2.4%) | 2,746 (▼11.0%) | 55,335 (▼2.3%) | 255,209 (▼1.5%) | 556,600 (▲0.03%) |
特許出願の中で約78.6%は韓国法人/個人により出願され、約21.4%は外国法人/個人により出願された。韓国に特許を出願した外国出願人の国籍をその件数が多い順に並べると次の通りである:米国(16,527件)、日本(14,192件)、中国(5,455件)、ドイツ(3,801件)、スイス(1,766件)、フランス(1,524件)、イギリス(1,458件)。
また、出願の多かった韓国出願人は、サムスン電子(12,563件、▲10.0%)、LG電子(4,182件、▼11.4%)、LGエナジーソリューション(3,741件、▲10.5%)、サムスン・ディスプレイ(3,444件、▲9.5%)、現代自動車(3,119件、▲4.3%)の順であった。外国出願人のうち上位5社は次の通りである:クアルコム(Qualcomm)(1,433件、▲67.2%)、アプライド・マテリアルズ(Applied Materials)(781件、▲14.3%)、株式会社半導体エネルギー研究所(SEL)(619件、▲1.8%)、東京エレクトロン株式会社(TEL)(599件、▼15.3%)、日東電工株式会社(479件、▼5.1%)。
▶ 2023年の特許審査統計
2023年には総199,979件の特許出願に対して審査請求が行われた。また、審査結果として、韓国特許庁は160,912件の意見提出通知書、44,168件の拒絶査定書、124,947件の特許査定書を発行し、特許査定率は72.9%であった。
2016年から2022年まで7年連続で特許査定率は増加の一途をたどり、2016年の60.0%から2022年には74.3%の水準にまで至ったが、2023年は72.9%と小幅に減少した。
年 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 |
特許査定率 | 60.0% | 63.1% | 65.0% | 68.8% | 72.2% | 74.0% | 74.3% | 72.9% |
▶ 2023年の特許審判統計
2023年に特許審判院に請求された特許審判事件は総3,117件であり、2022年の2,521件に比べて23.6%増加した。審判請求人の国籍別に分けてみると、2,164件(69.4%)は韓国法人/個人により請求され、また、953件(30.6%)は外国法人/個人により請求された。一方、審判の類型別に分けてみると、1,106件(35.5%)が当事者系の事件で、2,011件(64.5%)は査定系の事件であった。このうち、審査官の拒絶査定に対して特許審判院に請求された不服審判の件数は1,700件であった。
2023年に特許審判院で審理が行われた拒絶査定不服審判事件は1,701件であったが、そのうち4件については前置審査手続で原審査官により特許査定となり、460件については審査局に差し戻され再び審査を受けることになったか、若しくは審判官合議体により特許査定になった。
2023年に特許審判院に提出された特許取消申請は186件であり、2023年に審理が行われた148件のうち48件(32.4%)に対して特許取消決定が下された。
特許無効審判の場合、審理が行われた337件の中で請求認容審決は146件(43.3%)、棄却又は却下審決は154件(45.7%)であった。残りの37件は取下、又は手続無効処分となった。
▶ 2023年の特許法院及び大法院の判決の統計(査定系事件)
2023年に特許審判院が下した1,272件の不服可能な査定系特許事件の審決のうち101件(7.9%)に対して特許法院に審決取消訴訟が提起された。
特許法院が2023年に審理を行った査定系の特許事件は106件だが、そのうち18件については原告の請求を認容し(つまり、特許審判院の審決を取消す旨の判決)、77件については棄却又は却下判決(つまり、特許審判院の審決を維持する旨の判決)が下された。出訴から特許法院の判決までは平均で7.8ヵ月がかかった。
大法院は、出願人又は特許権者が特許法院の判決に不服した21件の査定系の特許事件を審理したが、そのうち1件については出願人又は特許権者の上告を認容し(つまり、特許法院の判決を破棄する旨の判決)、20件については上告棄却又は却下判決(つまり、特許法院の判決を維持する旨の判決)が下された。