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仮想商品を保護するための新たな審査指針

  • September 30, 2022
  • 李姃垣弁理士 / 李智瑛弁理士

近年、メタバースとNFT関連商標出願の急増に伴い、韓国特許庁は、仮想商品/サービスに対して認められる商品名称と仮想商品の類似判断に関する新たな審査指針を発表し、2022年7月14日から施行している。 



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韓国特許庁で認められる仮想商品/サービス名称
 
 


従来は商標出願時に仮想商品を指定商品とするために、第9類の「ダウンロード可能なイメージファイル(仮想衣類)」、「仮想衣類が記録されたコンピュータプログラム」等の形態のみが商品名称として認められ、「仮想衣類」のように「仮想+現実商品」の形態になった名称は認められなかった。 


しかしながら、新たな審査指針の導入により、「仮想」と組合せられた商品が具体的な名称として見受けられる場合、「仮想+現実商品」の形態になった名称も商品名称として認められる。例えば、「仮想商品」、「仮想車両」は、「仮想」の後の「商品」、「車両」が具体的な商品名称ではないため、拒絶されるはずであるが、「仮想衣類」は、「衣類」が許容される商品名称であるので、商品名称として認められる。 

かかる原則は、第35類の仮想商品の小売業出願に対しても適用される。したがって、小売業の対象となる仮想商品の名称は、「仮想衣類の小売業」のように具体的かつ明確にしなければならず、「仮想商品の小売業」のように小売の対象が不明な名称は認められない。 

一方、「仮想商品」と既存の商品名称が組合せられた場合には、従前の商品名称に準じて商品を分類する。例えば、出願商品が第9類の「仮想商品が記録されている仮想世界のコンピュータプログラム」である場合、仮想商品に係る類似群コードではないコンピュータプログラムに該当する類似群コードが付与される。また、「仮想環境を利用した音楽公演業」のように仮想環境を利用したサービスの提供は、オンライン又はインターネットといった仮想環境を手段とする従前のサービスの提供形態であるので、サービスの提供目的に応じて商品を分類する。 



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仮想商品の類似判断
 
 


韓国特許庁は、仮想商品を分離し仮想商品だけの別途の類似群コードを第9類に新設した。仮想商品の類似群コードはG5207XXとなり、詳細商品別類似群が付与される。 

例)履物:G270101、仮想履物:G520727 

仮想商品は使用実態上、一部類似の属性を有するが、需要者の商品出所の認識は現実商品に従うので、これを反映して現実で非類似の仮想商品間は原則的に非類似とみなす。ただし、商品によって類似群コードが同一であっても、商品の特性に応じて個別的に判断する。 

なお、仮想商品と現実商品は、使用目的と販売経路等が異なるため非類似とみなす。ただし、周知・著名商標等に類似している商標が出願された場合には、当該周知・著名商標等と混同する可能性があるか否かは審査する。