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「特許料等の徴収規則」の一部改正令案の立法予告

  • June 30, 2023
  • 鄭會美弁理士 / 李賢實弁理士

特許設定・年次登録料の引き下げなどを主な骨子とする特許料等の徴収規則の一部改正令案が2023年5月1日付で立法予告された。改正令案の主な容は以下の通りである。

 

 

 

▶ 特許設定・年次登録料の引き下げ

 

韓国特許庁は、社会的・経済的弱者である個人・中小・中堅企業に対して年間1,000億ウォン規模の官納料減免の支援を与えてきたが、減免者と非減免者 (大企業、外国企業など)間の特許料負担の差がますます拡大し、公平性問題が提起されてきた。また、特許庁の全体手数料収入のうち、特許設定・年次登録料の割合(2022年基準69.6%)が最も大きいことを考慮すると、特許顧客にとって経済的負担が大きく作用する特許料を引き下げ、出願人の権利維持の負担を緩和する必要性があった。

 

改正令案によると、特許設定・年次登録料が特許存続期間の全区間(1年~20年)にわたって一括10%引き下げられる。本改正は、2023年8月1日に予定されている改正令施行日以降に納付される特許設定登録料又は年次登録料に対して適用できる。

 

 

▶ 特許審査請求料の上方調整

 

韓国の特許・実用新案・デザイン・商標の出願料及び審査請求料は、米国・日本・中国・欧州など主要国に比べて顕著に低い水準である。政策研究用役を通じた特許庁の手数料原価の分析結果によると、審査請求料の年間損失が788億ウォンに達し、審査所要費用に対する審査請求料が非常に低いことと分析された。

 

これにより、このような損失の一定部分を補填するため、審査請求料を一部再調整することにした。改正令案によると、基本審査請求料は1件当たり14万3千ウォンから16万6千ウォンに、特許請求の範囲の1項当たりの加算額は4万4千ウォンから5万1千ウォンにそれぞれ引き上げられる(案第2条第1項第7号)。本改正は、改正令施行日以降に出願される特許出願件に対して適用される。

 

他方、出願料の場合、特許庁の全体手数料収入において占める割合(2022年基準4%)が低く、出願料の引き上げが出願件数に否定的な影響を及ぼす可能性も考慮し、現行の出願料を維持することにした。

 

 

▶ 商標手数料及び指定商品数の調整

 

現行法下では、商標出願・審判請求・登録の段階で、1商品類当たり指定商品の数20個まで基本料が課され、20個を超える場合には、超える各指定商品ごとに加算金が課されている。しかし、20個の限度内で実際に使用しない商品まで指定商品に含ませる問題により、商標審査処理の非効率性が生じ、さらに実際に第三者が使用したい商品について商標権を取得する機会が奪われるという問題があり、1商品類当たり基本指定商品の数を調整する必要性が提起されてきた。

 

改正令案では、使用していない商品の指定防止のため、商標出願時に基本手数料が適用される指定商品の数を現行の20個から10個に縮小し、10個の上限を超える場合、各指定商品ごとに加算金(1個当たり2千ウォン)を課す。ただし、指定商品の数の上限を縮小することとバランスを取るため、商標出願及び登録段階で発生する商標手数料は一括1万ウォンずつ引き下げることにした。

 

 

▶ 分割出願に対する加算料の導入

 

現行法によれば、分割回数に関係なく、分割出願の手数料は同じ金額が適用される。しかし、分割出願が出願維持の手段または審査期間延長などの手続き上の目的で悪用される事例が増加し、過去5年間、全体特許出願に対する分割出願の割合は増加する傾向にある。

 

そこで、無分別な分割出願の繰り返しを防止することで特許庁の審査負担を軽減し、分割出願制度の趣旨を外れる審査遅延を防止するため、改正令案では、次のように分割回数(2回~5回)に応じた累進制を適用する。

  

 (改正案)2条第1項第3号:分割出願料は次の通りである。

 イ.1回:新規出願料に相当する金額*

 ロ.2回:新規出願料に相当する金額の2

 ハ.3回:新規出願料に相当する金額の3

 ニ.4回:新規出願料に相当する金額の4

 ホ.5回:新規出願料に相当する金額の5

* 現在、新規出願の手46,000ウォンである